アーティストたちの記録を編む

一般社団法人とおがったプロジェクトさまと共に、アーティストインレジデンスの活動記録集を制作しました。とおがったプロジェクトは、宮城県の遠刈田温泉や白石市を拠点に、世界中のアーティストを招聘し、地域と共にアート活動を展開しています。今回はその一環として、福島県浜通りで行われたアーティストインレジデンスの記録を冊子としてまとめました。



被災地の今を「アーカイブ」として伝える
このプロジェクトのテーマは「被災地の今をアーカイブとして伝える」。
アーティスト2名が、震災と原子力災害の影響を受けた双葉町・浪江町でリサーチを行い、福島県葛尾村に滞在しながら作品を制作。その成果を発表する展覧会を開催しました。さらに、震災の被災地である仙台と東京で巡回展を実施。被災地の「中」と「外」からの視点を交錯させることで、多くの人々に「被災地の今」を立体的に感じてもらう機会を作りました。



記録として残すことの意味
この記録集の制作には、プロジェクトを統括された佐藤さん、アーティストのアテンドを担当された永井さんと共に、私たちも編集・デザイン・執筆の立場から関わらせていただきました。師走から1月にかけて活動に伴走しながら、アーティストの表情、展示を見に来た人々の反応、展示会場やギャラリーを運営するコミュニティの存在など、プロジェクトの様々な側面を記録していきました。その過程で、「アーカイブとして残る記録とは何か?」という問いに向き合いながら、冊子の編集やデザインに落とし込んでいきました。また、並走する中で得た気づきや考えを論考として寄稿する機会もいただきました。記録を単なる「記録」として残すのではなく、そこに関わる人々の思考や感情、時間の流れを映し出すような形にすること。それこそが、文化活動をアーカイブする際の大きな意義ではないかと感じています。

とおがったプロジェクトの佐藤さん、アーティストの幹-mikiさん、とおがったプロジェクトの永井さん
今回のプロジェクトを通じて、一つの活動に深く関わりながら、ひとつの形へとまとめ上げていくプロセスの楽しさを改めて実感しました。今後も、さまざまな文化活動に関わり、その記録を形にするお手伝いをしていけたらと思います。「文化活動のアーカイブをどう形にすればいいか分からない…」「祭事や音楽イベントの記録集を作りたい…」そんなお悩みがあれば、ぜひ私たちにお声がけください。一つひとつの活動の記憶を、しっかりと未来へと残していくお手伝いをいたします。